みどりの旅路

実務と研究から自然と文化をたどる共生論・多様性論

巨樹と私たち 巨樹信仰からSDGsまで

先日、神奈川県K市で「巨樹と私たち 巨樹信仰からSDGsまで」というタイトルで生涯学習講座の講義をしてきた。

巨樹あるいは巨木は、多くの人々に畏敬の念を抱かせ、現代でもパワースポットとして老若男女が訪れる。

オオカミ信仰でも有名な秩父三峯神社にもパワースポットの巨樹があり、休日には行列ができるほどだ。

三峯神社の巨樹パワースポット

bio-journey.hatenablog.com

 

そんな巨樹と私たちとの関わりを、古代のアニミズム(自然信仰)から説き起こし、現代生活での枯葉問題など地域資産としての保全管理のあり方、NIMBYSDGsなどに至るまでを西欧と東洋の自然観なども交えながら、世界中で自ら撮影した写真を多用して講義した。

 

まずは、「巨樹とは何か!」ということで、ギネスブック登録の世界最大の樹「シャーマン将軍の木」(樹高83.8m 幹周34.9m 体積1487㎥)(米国セコイア国立公園)や日本最大幹周の「蒲生の大クス」(幹周24.2m)(鹿児島県姶良市)などの紹介から始めた。

世界最大「シャーマン将軍の木」

日本で最大幹周「蒲生の大クス」

そのほか、講義の目次は、ざっとこんなところ(講義パワーポイントの「あらすじ」より)。

◎「巨樹」の誕生
  ・巨樹とは何か!
  ・本多静六・里見信生と巨樹
  ・巨樹・巨木林調査

◎巨樹信仰の原初
  ・アニミズム
  ・巨樹信仰と行事

◎自然へのまなざし
  ・自然破壊の始まり
    ー農耕・牧畜の始まり、ギルガメッシュ叙事詩
  ・西アジア・ヨーロッパと東洋の比較
    ー「自然」の捉え方、登山、自然との対立と共生の思想

◎巨樹と私たちの生活
  ・現代にも連なる巨樹信仰
  ・現代生活での巨樹
  ・巨樹と地域社会
    ー地域資産、地域との絆

◎巨樹とSDGs
  ・SDGsとは
  ・巨樹の役割とSDGs

◎明日の巨樹へ向けて
  ・現代に蘇る巨樹信仰
  ・巨樹を心に
  ・自然観・環境倫理の変遷と巨樹

◎【付録】全国巨樹・巨木林の会

 

内容は追って少しずつこのブログでも紹介したい。

いずれにしろ、地球上で最大・最長寿の生命体である「巨樹」

ひとりでも多くの方に関心を持っていただき、地域に存することに愛着と誇りを持っていただきたいとの願いを込めて、講義を終了した次第。

 

覚書程度の中身がない記事で失礼します。

 

毎度で恐縮だが、講義の一部は拙著『生物多様性を問いなおす 世界・自然・未来との共生とSDGs』(ちくま新書)でも詳しく解説。

目次は下記ブログ記事からどうぞ。

『生物多様性を問いなおす』書評と入試問題採用 - みどりの旅路