先週(2026年2月27日)放映のNHK 総合テレビ「チコちゃんに叱られる!」の疑問のひとつは、「なぜ草むしりをしてもまた雑草が生えてくるの?」だった。
答えは、「草むしりをすることにより撹乱された土の中に眠っていた新たな種(土壌シードバンク)が芽生えるから」というものだ。
植物に限らず、動物でも、それまで優勢だった種がいなくなれば、新たな種が取って代わる、つまり「重しが取れれば下が元気になる」というのは、生態系の慣わしだ。
人間の社会でもそうだけれどもね!
ところで、畑仕事や草花栽培についての多くのブログを拝見しているが、皆さんも雑草には困っているのでは。
私もこの歳になって週一だけの慣れない畑仕事をしているけど、やはりこたえるのは雑草取りだ。


ホトケノザやオオイヌノフグリのような地表面の雑草は鎌で削ぎ取ればなんとかなるが、やっかいなのはドクダミやチガヤ(?)、スギナ(つくし)など。地中深く根を張り、ちぎれた根からも繁殖するから手に負えない。
ついつい除草剤を使いたくなるが、使わず頑固に土を掘り起こして根を除去している。

分かりにくいが、右の塊からドクダミ、チガヤ(?)、スギナ
除草剤と遺伝子組換え作物
農民の大敵である雑草対策で、除草剤を使用してもなかなか効果は出ない。しかし、除草剤の効き目を高めるほど、肝心の作物にまで影響が出てしまう。
そこで、米国のグローバル化学企業モンサント社が開発したのが、強力な除草剤ラウンドアップ(成分名グリホサート)だ。
これは、農作物の大敵である雑草対策の除草剤開発において、雑草だけを枯らしてしまう選択性の除草剤開発が困難なため、すべての植物を枯らす強力な除草剤を開発したものだ。
しかし作物も枯れては元も子もない。作物の方は、除草剤の影響を受けない遺伝子を改変した除草剤耐性農作物品種を同時に開発した。
この除草剤耐性農作物とラウンドアップ除草剤とをセットにして販売して、利益を得ようとするビジネスモデルの一種でもある。
現在では、この除草剤耐性作物は、世界的な農業従事者の減少などを受けて、トウモロコシ、小麦、米、ダイズ、綿花、ナタネ、ジャガイモなど多品種に及び、作付面積も世界中で広がっている。
(以上、拙著『生物多様性を問いなおす 世界・自然・未来との共生とSDGs』(ちくま新書)の 第1章 現代に連なる略奪・独占と抵抗 第3節 先進国・グローバル企業と途上国の対立 「品種改良と遺伝子組換え」より。)
ところで、そもそも雑草って何?
以下は、過去記事「チコちゃんに叱られないよう、雑草について考える!」(2023/5/23)より一部修正して抜粋再掲。
2023年5月19日放映のNHK総合テレビの人気番組「チコちゃんに叱られる!」で、「雑草ってなに?」が取り上げられていた。
チコちゃんに叱られないように、雑草について考えてみたい。
チコちゃんの答えは・・・
「雑草ってなに?」のお答えは、「望まないところに生えているすべての草」とか。
私のブログに興味を持っていただいている読者の方々には、とっくにお分かりのことだろうと思う。
そう、チコちゃんの答えのとおり!
雑草(害虫なども)は、人間が勝手に役に立たないと考えたり、邪魔だと考えたりしているにすぎないのだ。
そして番組出演者が質問していたが、「同じ草でも、あるところでは雑草で、違うところに生えていたら雑草でなくなることがあるの?」という疑問が当然のごとく湧いてくる。
そのとおり!
同じ草でも、きれいな花が咲くからといって庭に植えていた植物が、繁茂しすぎて邪魔になり、突然に雑草として扱われてしまうことがあるのは、身に覚えのある方も多いだろう。
ドクダミは雑草?薬草?
白い花が咲くドクダミも、畑や庭、空き地、道端などでは雑草として扱われることが多い。
でも、ドクダミは名無しの雑草ではなく、ちゃんと名前を覚えられているからまだましか?
それもそのはず、ドクダミの独特の臭いの元となるデカノイルアセトアルデヒドの精油成分には殺菌作用もあり、化膿止めや皮膚炎などに効果があるとされている。
ほかにも利尿作用や便秘改善効果、血圧安定効果などもあり、「ドクダミ茶」としても古くから利用されてきた。
江戸時代に貝原益軒の著書である本草学の『大和本草』や寺島良安の類書(百科事典)『和漢三才図絵』などにも薬草としての記載がある。
現在でも、れっきとした薬草で、厚生労働省が発行する「日本薬局方」に「十薬」という生薬名で記載されている。

雑草だけではない!
害虫の蚊やハエも、役に立つことはあるのだ。
ハエの幼虫ウジが化膿して壊死した傷口を食べて、傷の回復を早めることから、チンギス・ハーンが負傷兵士手当のために大量のウジを戦場に運んだり、現代の病院でも使用されていることは、上記の拙著でも紹介したところだ(第3章 便益と倫理を問いなおす 第2節 生物絶滅と人間 「眠れぬ夜にカの根絶を考える」参照)。
良いものと悪いもの?
故 坂本龍一氏は、「人間は勝手に、良い音と悪い音に分けている。公平に音を聴いた方が良い」と語っていたいた(ブログ記事「坂本龍一 街頭音採録の背後には」2023年5月13日)。
そう! 雑草や害虫も、人間が勝手に分けただけなのだ。
ちなみに、坂本龍一氏は私の高校の2学年後輩、同じ作曲家の池辺晋一郎氏は5学年先輩。お二人ともお会いしたことはないし、私は音楽にはほとんど無縁。
なのにわざわざアピールするのは、正に「虎の威を借る狐」ですね。
多様性と多面性
こうした人間の役に立つかどうか、の前に、害虫や雑草たちも、自然界ではなくてはならない存在でもある。
人間に望まれるかどうか?
そんなの関係ないっ!
蚊やハエが鳥や魚の餌にもなって生態系を支えているのは、わかりやすい例だ。
こうして、あらゆる生物が他の生物と関わり合いながら自然界(生態系)で共に生きていることこそが、「生物多様性」なのだ。
これは、本ブログの主題のひとつでもある。
一方で、「(害虫など)この線引きは、科学技術の進展、生活様式(ライフスタイル)の変化、さらには倫理観の変化などによって、いつ反転してしまうかもわからない」(前掲拙著の第3章 便益と倫理を問いなおす 第2節 生物絶滅と人間 「眠れぬ夜にカの根絶を考える」参照)。
多くの個の存在を認める「多様性」も大事だけれども、ひとつの個も角度によって(見方によって)さまざまな価値や意味を持つ「多面性」(多義性など)も大事かと思う。
多様性と多面性は、自然界・生物だけではなく、人間社会でも真剣に考えてみる必要があるだろう。
「巨樹カレンダー」を進呈!!! 巨樹アンケートへご協力を!





























