みどりの旅路

実務と研究から自然と文化をたどる共生論・多様性論

上橋菜穂子『香君』を生物多様性の視点で読んでみた(3)

上橋菜穂子さんの『香君』について、 第1回では、ウマール帝国がオアレ稲の配布を通じて、飢餓に苦しむ周辺国を属国として支配してきた、その支配構造と源泉について生物多様性の視点から紹介した。 それはまさに、品種改良の結果生み出された多収量品種よる…

上橋菜穂子『香君』を生物多様性の視点で読んでみた(2)

前回に続いて、上橋菜穂子『香君』を生物多様の視点から読んでみると・・・ ウマール帝国は、神授の稲オアレ稲によって属国を支配してきた。その支配構造と源泉は、現代の多国籍アグリビジネス企業のビジネス戦略とそっくりだということを前回の記事で示した…

今日はバレンタインデー、チョコの話をしよう

今日はバレンタインデー そこで、予定(「上橋菜穂子『香君』を生物多様性の視点で読んでみた(2)」)を急遽変更して、チョコレートの話にしたい。 といっても、過去記事の再編集なのでご容赦を。これって、最近のNHK番組並み? チョコレートのふるさと ヨ…

上橋菜穂子『香君』を生物多様性の視点で読んでみた(1)

ご訪問いただきありがとうございます。いつもながら記事更新もできず、たいへんなご無沙汰でした。 1月には昨年9月・11月に続いてまたサラワク・クチンを訪問。 bio-journey.hatenablog.com でもその間に、上橋菜穂子さんの『香君』(上下)(文藝春秋)を読…

謹賀新年 辰の姿

明けましておめでとうございます いつもご訪問いただきありがとうございます 不定期更新というか、思い出したような更新ですが、本年もよろしくお願いいたします 正月早々、地震や航空機事故、そして世界では相変わらずの戦火など、心痛むことばかりですが、…

庭先にある巨樹 巨木の郷で巨木フォーラム in 青森・階上大会2023

皆さま、大変ご無沙汰しています。 多くの方々にご訪問いただいたにもかかわらず、こちらからの訪問が滞り失礼いたしました。 いよいよ大晦日。 年が明けないうちにアップしておかなければならないのが、本年10月7日に青森県階上町で開催された「第34回巨木…

サラワク・クチンは猫の街?

この夏、3週間ほど海外出張をした。 ブログ更新はもともと遅いけど、やっと今頃になってアップする次第。 滞在先は、マレーシア連邦サラワク州の州都クチン。 サラワクは、世界で3番目に大きな島ボルネオ島にある。 島の南部約3分の2は、カリマンタと呼ばれ…

『生物多様性を問いなおす』書評と入試問題採用 (更新)

ブログを書いていると、正直なところ読者の反応が気になる。 私はこのブログ以外のいわゆるSNSはやっていないが、読者の皆さんの中には多くのSNSを駆使している方も多いことだろう。そして、バズることを期待している方も多いことだろう。 私も、このブログ…

わたしがブログを書く理由 生物多様性と私的共生論

ブログ記事掲載(更新)の少ない私にとって、「わたしがブログを書く理由」のお題を見つけて嬉しくなり、早速書き出しました。このお題は、既に書いたことがあり、また皆さんにも知ってもらいたいからです。 「はてなブログ」を開始して最初の記事が、中断し…

白馬岳で白山の高山植物を鑑賞 植物名に付された山岳名

白馬岳で高山植物撮影 北アルプスの白馬岳(2932.3m)に登山した。腰痛起因の大腿部痛をおしての登山のため、大雪渓ルートは避けて、比較的容易な栂池から白馬大池のルートをとった。 白馬岳稜線 さすが天然記念物に指定されるほど高山植物で有名なだけあっ…

これって何の法則? ご無沙汰の向こう側

しばらくの間、用務が立て込んでブログ更新はおろか訪問もできなかった。 更新頻度は普段から低いから、用務の所為にはできないのだけれども。 それにしても、予定や仕事は、重なる時には重なるものだ。 年中忙しい方々には申し訳ないけど、退職後は悠々自適…

ボゴール宮殿と植物園 天皇皇后両陛下のインドネシア訪問

インドネシア訪問中の天皇皇后両陛下は、2023年6月19日、ボゴール宮殿での歓迎行事の後、ジョコ大統領自ら運転するカートで隣接する植物園を巡られた、と報じられた。 ボゴール宮殿は、ジャカルタから60kmほど南のボゴール市にある大統領離宮だ。 オラン…

巨樹と私たち 巨樹信仰からSDGsまで

先日、神奈川県K市で「巨樹と私たち 巨樹信仰からSDGsまで」というタイトルで生涯学習講座の講義をしてきた。 巨樹あるいは巨木は、多くの人々に畏敬の念を抱かせ、現代でもパワースポットとして老若男女が訪れる。 オオカミ信仰でも有名な秩父の三峯神社に…

チコちゃんに叱られないよう、雑草について考える!

先週(2023年5月19日)放映のNHK総合テレビの人気番組「チコちゃんに叱られる!」で、「雑草ってなに?」が取り上げられていた。 チコちゃんに叱られないように、雑草について考えてみたい。 目次 チコちゃんの答えは・・・ 良いものと悪いもの? ドクダ…

坂本龍一 街頭音採録の背後には

坂本龍一さん(以下、敬称略)の死の公表から1カ月以上が経つが、未だにその死を惜しむ声は続き、マスコミなどでも特集が組まれたりしている。 実は、坂本龍一は、同じ高校(都立新宿高校)の後輩にあたる。 ただそれだけで、会ったこともない。別に自慢にも…

シカの増加はオオカミ絶滅のせい? シカ食害と対策を考える旅路

最近、各地で野生動物、特にシカが増えたという話を聞く。 私がかつて(およそ半世紀ほど前)北海道の阿寒湖で仕事をしていた時には、動物の写真を撮りたい一心でエゾシカの姿を求めたが、なかなか目にすることもできなかった。 釧路市に出かけた帰りの夕刻…

カカオ農家支援の情熱活動 ガーナでチョコの生産販売

少し前の新聞(2023年4月13日付朝日新聞東京本社版夕刊)に、ガーナのカカオ農家支援活動をしている田口愛さんの記事が載っていた。 幼少期から好物だったチョコレートを生産しているカカオ農園では、幼い子どもが低賃金で働かされていることを小学生の時に…

オオカミ信仰 関東最強のパワースポット三峯神社

「ニホンオオカミは犬との混血?」記事で、三峯神社などでのオオカミ信仰について記事を書くことをお約束してからからほぼ1か月が経ってしまった。 そこで、この記事では、「人間と野生動物」の関係の視点から、オオカミ信仰をみてみよう。そして、三峯神社…

続 光るメダカで逮捕者 ―遺伝子組換えとカルタヘナ法

光るメダカの飼育と販売で逮捕者が出たことから、前回記事では遺伝子組換え生物やその取扱いに関する国際条約に基づく「カルタヘナ法」について取り上げた。しかし、途中で息切れして(というか、あまり長文のブログもどうかとも思い)カルタヘナ法にまでた…

光るメダカで逮捕者 ー遺伝子組換えとカルタヘナ法

遺伝子が組み換えられて体が赤色に光るメダカを違法に飼育するなどしたとして、メダカ販売店経営者など計5人が逮捕されたという(2013年3月8日、警視庁発表)。 カルタヘナ法による国の承認を受けずに、遺伝子組換え生物を飼育・販売などしたもので、同法に…

ニホンオオカミは犬との混血?

NHKテレビ「ダーウィンが来た!」で「解明!本当のニホンオオカミ」(2023/2/19放送)を観た。 120年ほど前に絶滅したニホンオオカミ。残されていた標本は、実はイヌと交雑したものだったと判明した、というものだった。 目次 ニホンオオカミの標本 最後…

『生物多様性を問いなおす』書評と入試問題採用

ブログを書いていると、正直なところ読者の反応が気になる。 私はこのブログ以外のいわゆるSNSはやっていないが、読者の皆さんの中には多くのSNSを駆使している方も多いことだろう。そして、バズることを期待している方も多いことだろう。 私も、このブログ…

カカオ豆の原産地と植民地への拡散、そしてフェアトレード ―バレンタインチョコとSDGs (その2)

バレンタインデーにちなんでチョコレートの話の続き。 前回に記したように、チョコレートは元々は今と違って飲用だった。 そして、現代のようなチョコレートの形状になったのは、オランダやイギリス、スイスなどの人々の発明と工夫による。 そのチョコレート…

チョコレートの原料と製造の歴史 ーバレンタインチョコとSDGs (その1)

義理チョコ(懐かしい!)からも縁遠くなったけど、今日(2月14日)はバレンタインデー そこでチョコレートの話をしよう。 と言っても、チョコの美味しさや人気ブランドではなく、チョコをめぐる歴史と植民地化などの国際関係など、いわばチョコレートと生物…

生物多様性って何? ブログ再開の辞

15年間の「生物多様性」ブログ 私は15年前からブログで、生物多様性、世界遺産・国立公園、巨樹・巨木などについて発信してきた(「人と自然」so-netブログ、現ssブログ)。 ブログ開設の目的の一つが、生物多様性について、多くの人に理解してもらいたいと…