みどりの旅路

実務と研究から自然と文化をたどる共生論・多様性論

カカオ農家支援の情熱活動 ガーナでチョコの生産販売

少し前の新聞(2023年4月13日付朝日新聞東京本社版夕刊)に、ガーナのカカオ農家支援活動をしている田口愛さんの記事が載っていた。

幼少期から好物だったチョコレートを生産しているカカオ農園では、幼い子どもが低賃金で働かされていることを小学生の時に本で知ったという。

そして、大学1年の時にアルバイトでためた30万円を手に一人でガーナに渡り、カカオ農家に2カ月滞在。

そこで、カカオ生産者であるにもかかわらず、貧困にあえぐ彼らはチョコレートを食べたこともないという事実を知った。

田口さんは、ユーチューブでチョコの作り方を調べて、持参したミキサーでカカオ豆からチョコを作り、村人に振舞ったところ、大変喜ばれたという。

 

日本でも魚や野菜・果実などの高級品は、すべて東京や京都などの高級料亭・レストランに回り、生産地の人々の口には入らないというのは、よく聞く話だ。

しかし、そこで終わらないのが彼女の素晴らしいところ。輸出作物のカカオ豆を生産していても、ちっとも豊かにならず貧困となる原因を突き止め、新しい仕組みを作ったのだ。

ガーナでは、生産されたカカオ豆を政府組織の「ココボード」などが一律の価額で買い取って輸出している。その買取価格は、重さに従うだけで品質は関係ないため、時には小石を入れたりして増量することもあるという。そのためガーナ産カカオ豆は低品質の印象があり、買いたたかれるようだ。

 

田口さんの新しい仕組みは、農家に高級品質の豆を生産してもらい、相場の1.5倍の価格で直接買い取り、日本で高く販売して利益を還元するというものだ。

大学3年生の時には「エンプレーソ」という会社を立ち上げ、ついには大学も退学して事業に専念しているという。

 

私のブログ記事でも、チョコレートの原料カカオとチョコレート製造の話や

 

bio-journey.hatenablog.com

カカオ豆原産地・生産地と帝国主義時代の植民地化、現代でのガーナなど生産者の貧困とフェアトレードSDGsなどについても取り上げた。

 

bio-journey.hatenablog.com

 

私は、生物多様性と関連する事柄を少しでも多くの人々に知ってもらいたいとの願いから、このブログを開始した。

 

bio-journey.hatenablog.com

 

しかし言ってみれば、知識、いわゆる「頭でっかち」ばかりで、田口さんのように行動は伴わないという忸怩たる思いがある。

文章や口だけではなく、やはり行動でもって世の中を変えることは大変すばらしいことだ。

生物多様性分野でも、若者たちが積極的に関わり、昨年12月にモントリオール(カナダ)で開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)にも参加した。参加費を募るクラウドファンディングに、私も微力ながら協力した。

 

若い人々の行動力には、羨ましいと思うと同時に期待もしている。

まぁ、歳だからという言い訳もあるけれど、こんなブログを15年以上にわたり細々と発信し続けていることで、情熱の余焔(残り火)を感じていただければ幸いである。